『子の無い人生』を読みました。
私にとって、子どもを持つということは、
昔から自明のことだったわけではありませんでした。
10何年も前のことだったと思いますが、母親に、「私は結婚しないと思うよ~」と言ったこともあるくらい(母はそのことをずっと覚えていて、あんた結婚しないって言ってたわよね、って何回か言われましたっけ(;・∀・))。
結果として、夫と結婚して子どもを授かって、とても幸せなことだと思います。
娘を妊娠する前のことですが、姉から、
「ママ*1が、トイザらスで、赤ちゃんのおもちゃをじっと眺めてたよ」と聞いたことがあります。
直接言われるのもビビりますが、間接的に聞き、ジワリとしたプレッシャーが来たものです。
そして父からは、一回きり、冗談めいてではありましたがあからさまに「孫が欲しいなあ」と言われたこともありました。
私は事情があって、長いこと学生の立場でいたもので、上記の二人の発言は、いずれもまだ私が学籍にあるときのことでした。
なので、「そんなこと言われてもまだ学生だもん、無理だよ。プンプン」くらいに思っていました。と同時に、確かにいつまでも学生してられない、早く学生を終えて、そっちの人生も進めないと!という思いもし始めていました。
そういうわけで、出産して、両親に孫の顔を見せることができて、ほっとしたところは大いにあります。
特に父は、娘が1歳になる前に他界したので、その思いも強かったです*2。
私の姉は独身でして、娘は、両親にとって初孫です。
私は3月に退職して、今でこそ専業主婦ですが、これまでの人生のなかで、”今なら子ども産める!今が妊娠のチャンス!”と思った時期はまったくありませんでした。
今思えば、学生時代に産めたのでは?と思うのですが、
その時はその時で、学生時代にすべき(と自分が考えていた)ことをこなすことだけで必死でした。学生であるうちに子どもを産み育てる人もいたけれど、自分にできると思っていませんでした。
今に至るまで、流産は2回しているし、
妊娠、出産は当たり前のことではなくて、偶然であり、奇跡だと思っています。
と同時に、子どもを育てることが、喜びはもちろんのこと、想像以上に大変さももたらすものだと知ることになりました。
たまたま、自分は子どもがいる人生を歩み、そのことの幸せを感じつつ、
でも子どもがいなかったかもしれない人生も、けっこうリアルです。
その場合、ずっと前職の仕事を続けていただろうと思います。
前職についていた頃は、一生の仕事と思っていたので。
けれど、実際のところは、前職に必要と思われるスキルで自分には苦手なこともあったし、情熱を持ちきれないところもあったのかもしれない。
仕事を続けていたら、苦しみも多かったはずです。
話が脱線しましたが、『子の無い人生』の著者、酒井順子さんには子どもがおらず、お兄さんの奥さんがお嬢さんを出産されていて、このお嬢さんには母方のいとこが一人いるだけだそうで、以下のような文章がありました。
赤ん坊が一人産まれると、家というのはぱぁっと明るい雰囲気に包まれるもの。頑張って出産した兄の奥さんを、御神輿に乗せて担ぎたい気分になりました。まさか現世において抱けるとは思っていなかった「自分と血がつながった赤ちゃん」をおそるおそる抱いた私は、嬉しさと同時に、深い安堵感にも包まれておりました。その安堵感とは、「もう私は、いいよね」というもの。(p.43-44)
私の姉がこんなふうに述懐するかどうかはまた別の話ですが、私が出産することで姉が楽になるのなら、それは私はありがたいです。
私の姉は、いわゆる正規雇用で働く女性の姿を、子どもに見せてくれるわけで、娘にとって、母の私にはできないいろんなことを提供してくれるロールモデルの一人です。娘も、車でいろんなところに連れだしてくれて、全力で遊んでくれる伯母が大好きです。
先日、八歳の姪と話していた時、「私、イトコが欲しいな~。どうやったらできるの?」との質問がありました。他のものであればクリスマスにでも買ってあげたいところだけれど、「あなたのイトコは私が産むしかないんだけどさ、無理だわゴメン」と、即座に「イトコ無理宣言」を私はしたのです。彼女はひとりっ子であり、イトコは母方に一人しかいません。私には九人ものイトコがいることを考えると、イトコをつくってやれず、申し訳ない気持ちでいっぱいに。話題を逸らしつつ、「姪よ、申し訳ない。しかしこれも宿命と思って耐えておくれ……」と、心の中で開き直れました。(p.202)
子どもは子どもの中で育つといいと思うし、私自身も、お正月やお盆に、いとこたちと一緒に、母の実家に集まっていました。それはにぎやかでした。
母は5人きょうだいで、母方だけで私のいとこは8人。子どものいないおじおばはいません。
このままいったら、娘は、いとこのいない子になるのかもしれないです。
まあでもそれは仕方ないし、私も別にいとこと親友のように親しく育ったわけではないし、別にいいのです。
それに、娘には、いとこがいなくても、はとこは数名結構身近にいますし、お友達で、幼馴染のように育っていけそうな子たちもいるし^^
ただ、姉や学生時代の親友など、この人と一緒に子育てしたいなあと思う人に、今のところ子どもがいないことは、残念に感じるところがあります。
(もちろん本人に言えることではないので、心の中にしまっておくだけですが。)
きっと彼女たちの子育てを見たら、すごく学ぶことが多いはずだと思うし、子どもたち同士を一緒に遊ばせることができたらきっと楽しかったと思うので。
それと同時に、彼女たちは私の娘をかわいがってくれるので、自分がもし逆の立場だったら、同じように彼女たちの子どもをかわいがれたかなあと思います。
もし彼女たちがこの先子どもを持つことがあれば、全力でサポートしたいなあ。覚えたての手遊び歌とか、歌っちゃうぞー(*´ω`)
人生、子どもを持ったから幸せとか、子どもがいるから/いないから大変、ということは言えないんだと思っています。
かつて、子どもを持たない人から、意図的か無意識か、心無いことを言われて傷ついたことはありました。でも、反論する気にもなれなかったし、そういうことをあげつらうのはすごく嫌です。
こういう本を手に取りたくなるということは、子どもを持つ、ということ自体の意味というのは、私にとって時々考えたくなるテーマなんだろうな。
どういう道を進むことになるのであれ、他者の生き方を否定することなく、むしろその大変さをくみ取って、豊かにありたいものだと思いました。